【「正直、給料が心配」】労働時間規制は"転職の好機"です。本当にドライバーを大切にする企業だけが持つ「給与体系」と「運行管理」の秘密

「トラック運転手の仕事は、長時間走って大変そうだ」。世の中には、まだそんなイメージが根強くあるかもしれません。実際に、これまでは長い時間ハンドルを握ることで、家族を支える収入を得てきた方も少なくないでしょう。


しかし、その働き方が今、大きな節目を迎えています。きっかけは「2024年問題」と呼ばれる、新しい法律の適用です。これにより、トラック運転手の時間外労働にはっきりとした上限が設けられ、休み時間もしっかりと確保されるよう、国全体でルールが見直されました。


これを聞いて、「ようやく身体が楽になる」と期待する声がある一方で、「待ってくれ。働く時間が減ったら、給料も下がってしまうんじゃないか?」と、生活への不安を感じる声も聞こえてきます。これまで頑張って走った分だけ評価されてきた方ほど、その心配は切実なものだと思います。


この変化は、トラック運転手にとって、単に労働時間が短くなるだけの話ではありません。実は、これまで見過ごされてきた業界の課題と向き合い、本当にドライバーを大切にする会社はどこなのかを見極める、またとない「好機」なのです。この記事では、その不安の正体を解き明かし、新しい時代に賢く、そして安心して働き続けるためのヒントをお伝えします。




■知っておきたい基本のルール。あなたの働き方はどう変わる?

「法律が変わる」と聞いても、内容が難しくて自分にどう関係するのか、すぐには分かりにくいかもしれません。ここでは、あなたの働き方を守るための、特に大切な2つのルールについて、できるだけ分かりやすく解説します。



・時間外労働に「年960時間」という上限が


まず一番大きな変更点が、残業などの時間外労働に「年間で960時間まで」という、はっきりとした上限が設けられたことです。これは、一部の例外を除き、すべての会社が守らなければならない国のルールです。これまでのように、繁忙期だからといって無理な残業が続く、といった状況に歯止めがかかることになります。1か月に換算すると、平均で80時間程度が目安となります。もちろん、仕事の波はありますから、月によって多少の変動はありますが、年間を通じてこの上限を超えるような働き方をさせることは、原則としてできなくなりました。これは、あなたの健康を守り、プライベートな時間を確保するための、とても重要な決まりごとです。



・しっかり休むためのルール「改善基準告示」


もう一つ、トラック運転手ならではの特別なルールも見直されました。それが「改善基準告示」と呼ばれるものです。これは、安全運転に不可欠な「休息」に焦点を当てたルールです。具体的には、1日の仕事が終わってから、次の仕事が始まるまでの時間を「休息期間」と呼び、この時間を「基本的に11時間以上空けましょう(最低でも9時間)」と定めています。例えば、夜8時に仕事が終わったなら、次の日の朝7時より前に仕事を始めることはできない、ということです。これにより、「家に帰って数時間寝ただけで、またすぐに出発」といった無理な運行を防ぎ、心と体をしっかり休ませることを目的としています。これもまた、あなた自身と、道路を利用するすべての人々の安全を守るための大切なルールなのです。




■一番聞きたい「労働時間が減って、収入も減るの?」という疑問

新しいルールによって、身体への負担が減ることは歓迎すべきことです。しかし、多くの方が最も気にしているのは、「働く時間が減る分、手取りも減ってしまうのではないか」という、生活に直結する問題でしょう。この不安は、決して気のせいではありません。なぜなら、これまでの運送業界には、特有の給与の仕組みがあったからです。



・なぜ収入が減る心配が生まれるのか


トラック運転手の給与は、基本給に加えて、走った距離や運んだ荷物の量に応じて支払われる「歩合給」や、残業代が大きな割合を占めている会社が少なくありませんでした。つまり、「長く働き、遠くまで走ること」が、高い収入に直結する仕組みだったのです。この働き方に慣れていると、法律で労働時間に上限ができて走れる距離が短くなれば、当然、歩合給や残業代が減り、結果として給料が下がってしまう、と考えるのは自然なことです。この「時間=収入」という考え方が、今回の変化に対する不安の、一番の根っこにあると言えるでしょう。



・問題の本当のところは、働き方の「質」にある


しかし、この問題の本質は、少し違う場所にあります。それは、「ドライバー個人の頑張り」だけに頼って、非効率な部分をそのままにしてきた、業界全体の課題です。例えば、荷主の都合で何時間も待たされる「荷待ち時間」。これはドライバーの責任ではないにもかかわらず、拘束時間を長くし、生産性を下げる大きな原因となってきました。今回のルール変更は、こうした非効率な働き方を会社全体で見直し、「短い時間で、いかに効率よく仕事を進めるか」という「働き方の質」を高めるための大きなきっかけになります。つまり、これからは「だらだらと長く働く会社」ではなく、「賢く働き、きちんと利益を上げて、それを社員に還元する会社」が生き残っていく時代になるのです。




■「時間」と「収入」を両立させる会社は何が違うのか?

では、労働時間を守りながら、ドライバーの収入も維持、あるいは向上させようとしている会社は、具体的にどのような工夫をしているのでしょうか。そこには、これまでのやり方に固執しない、3つの共通した仕組みが見られます。



・仕組み1:IT技術で無駄な時間をなくす


まず、多くの優良な企業では、IT、つまり情報技術を積極的に活用して、業務の無駄を徹底的に省いています。例えば、経験や勘だけに頼るのではなく、専門のシステムを使ってその日の交通量や天候まで予測し、一番効率の良い配送ルートを自動で割り出します。また、すべてのトラックの現在地を事務所で把握できる仕組みを導入し、急な渋滞やトラブルが発生した際も、すぐに最適な指示を出せるようにしています。こうした工夫は、ドライバーが運転に集中できる環境をつくり、無駄な走行時間や待機時間を減らすことで、短い時間でもしっかり成果を上げることにつながっています。



・仕組み2:頑張りが正しく評価される給与の仕組み


次に、給与の仕組みそのものを見直している点も大きな特徴です。単に「走った距離」だけで評価するのではなく、ドライバーの日々の多様な努力をきちんと評価する仕組みを取り入れています。例えば、急ブレーキや急発進の少ない、丁寧で安全な運転を評価する「無事故手当」を手厚くしたり、燃費の良い運転を心がけたドライバーに報奨金を出したり。ほかにも、荷物を丁寧に取り扱う姿勢や、納品先での気持ちの良い挨拶といった、会社の信頼につながる行動も評価の対象とするなど、多角的な視点でドライバーの頑張りに応えようとしています。



・仕組み3:会社が率先して「荷待ち時間」を減らす努力


そして最も大切なのが、ドライバー個人の力だけではどうにもならない「荷待ち時間」のような、構造的な問題を解決しようと、会社が先頭に立って努力していることです。信頼できる会社は、荷主に対して「〇分以上の待機時間については、別途料金をいただきます」といった交渉を粘り強く行っています。これは、ドライバーの貴重な時間を守り、その負担を正当に評価してもらうための、会社の強い意志の表れです。こうした姿勢を持つ会社は、ドライバーを単なる運転手としてではなく、共に働く大切なパートナーとして考えている証拠と言えるでしょう。




■後悔しないために。新しい職場を見極める3つの視点

新しいルールをきっかけに、より良い環境で働きたいと考えているなら、会社のどこに注目すれば良いのでしょうか。ここでは、本当にドライバーを大切にしてくれる会社を見極めるための、具体的な3つの視点をご紹介します。



・視点1:給与の内訳をしっかり確認する


求人情報を見るとき、つい総支給額のモデル例に目が行きがちですが、大切なのはその「中身」です。基本給の割合はどれくらいか、歩合給はどのような基準で計算されるのか、残業代は1分単位でしっかり支払われるのか。また、賞与(ボーナス)の昨年の実績や、住宅手当、家族手当といった各種手当が充実しているかも、生活の安定に直結する重要なポイントです。給与の内訳を細かく公開している会社ほど、誠実である可能性が高いと言えます。曖昧な表現が多い場合は、面接の場で遠慮せずに質問してみましょう。



・視点2:面接では「働き方」について質問する


面接は、会社があなたを選ぶ場であると同時に、あなたが会社を選ぶ場でもあります。給与や待遇のことだけでなく、実際の働き方について具体的に質問することが、入社後のミスマッチを防ぐ鍵になります。例えば、「1日の平均的な拘束時間はどれくらいですか?」「無理な運行スケジュールが組まれることはありませんか?」「デジタコ(運行記録計)などの管理は、どのように活用されていますか?」といった質問は、会社の安全意識や労務管理の姿勢を知るための良いきっかけになります。質問に対して、真摯に、そして具体的に答えてくれるかどうかを見極めましょう。



・視点3:社員が長く働いているかどうかもヒントになる


その会社が本当に働きやすい環境かどうかを知るための、シンプルで分かりやすい指標の一つが「社員の平均勤続年数」です。長く働いている社員が多いということは、それだけ定着率が良く、多くの人が「この会社で働き続けたい」と感じている証拠になります。会社のホームページに掲載されていたり、面接で質問してみたりするのも良いでしょう。人の入れ替わりが激しい職場は、給与や待遇面に何らかの問題を抱えている可能性も考えられます。


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■これからの時代、ドライバーは「働き方の質」で会社を選ぶ

ここまで見てきたように、2024年問題は、トラック運転手の働き方に大きな変化をもたらします。それは、一部で心配されているような、単に収入が減ってしまうという話ではありません。むしろ、これまでの「長時間労働ありき」という古い慣習から抜け出し、業界全体が健全な姿へと生まれ変わるための、非常に重要な一歩なのです。


これからの運送業界では、ドライバーの頑張りだけに頼るのではなく、会社自身が知恵を絞り、工夫を重ねることで「働きやすさ」と「収益性」を両立させることが求められます。IT技術をうまく活用して無駄をなくし、ドライバー一人ひとりの努力を多角的に評価し、そして、会社が盾となって理不尽な労働環境から社員を守る。そうした当たり前のことが、当たり前に行われる会社こそが、未来へと成長していくことができるでしょう。


この変化の時代は、あなたにとって、これまでのキャリアを見つめ直し、本当に自分を大切にしてくれる会社はどこなのかを、主体的に「選ぶ」ことができる絶好の機会です。この記事でお伝えした視点が、あなたが後悔のない選択をし、誇りを持ってハンドルを握り続けるための一助となれば、これほど嬉しいことはありません。


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